太る

酵素不足が太る原因であると聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、なぜ酵素不足で太るのか、その仕組みをきちんと理解できていないという方も、多いかと思います。

そこで、酵素不足が太る原因となるメカニズムをご説明いたします。

酵素不足が肥満の原因となる理由は?

酵素不足が肥満になる理由は、代謝が悪くなるからです。代謝とは、一般的なイメージで脂肪を燃焼する、というイメージがあると思いますが、代謝に重要なのが酵素なのです。

酵素と一言で言っても、実は酵素にも種類があります。細かく言えばきりがありませんが、一般的に「消化酵素」「代謝酵素」「食物酵素」という3種類に大別されています。消化酵素と代謝酵素は体内で生成されるため「潜在酵素」、食物酵素は外部の食材に含まれるため「外部酵素」と分けられることもあります。

これらの酵素はそれぞれ役割を持っていて、消化酵素は体内の消化の触媒、代謝酵素は体内の代謝の触媒、食物酵素は食物の消化の触媒です。すべて「触媒」という言葉を使わせていただきましたが、酵素自信が消化や代謝を行っているわけではなく、酵素は消化や代謝を促進しています。

酵素自体が生き物である、といった認識がある方もいらっしゃいますが、酵素は生き物ではなくタンパク質の一種であり、体内で起こる消化や代謝の化学反応を促進する物質です。

参考:酵素とは?種類・働き・概要
参考:消化酵素の働き・消化のメカニズム
参考:代謝酵素の働き・代謝のメカニズム

酵素不足とはどういう状態か?

酵素不足が太る原因である、ということをよく聞きますが、酵素不足とはそもそもどういった状態を表しているのでしょうか。酵素不足と聞くと、食物から酵素を摂取していないため、太るとお考えだと思いますが、半分正解で半分誤りというのが、私の見解です。

まず、少し誤った認識をしている方がいると思いますが、酵素は食物から補うことができると考えている方です。確かに食物酵素を摂取することは可能ですが、酵素は左記にも述べた通りタンパク質です。

タンパク質であるため、食物から酵素を摂取したとしても、胃の酸で溶かされてしまいます。酵素が働けるのは一般的に「ph6~8」「37℃~46℃」の環境といわれています(厳密にはすべてではありません。また、範囲外でも反応速度は遅くなりますが、効果を発揮することも判明しています)。胃の酸に触れてしまうといわゆる「失活」状態になるのです。つまり、食物から酵素を摂取しても酵素自体を増やす効果があるわけではないということですね。

では、酵素不足とはどういった状態なのでしょうか。答えは、体内の「代謝酵素が少ない状態・足りていない状態」のことを言います。

先の酵素の説明で潜在酵素は2種類あり「消化酵素」と「代謝酵素」であると述べました。実はこの2つには関連性があり、体内では両者合わせて一定数しか存在できないといわれてます。消化酵素が大量に生成されていると代謝酵素が生成できないということです。

潜在酵素の関係性

酵素栄養学のパイオニアであるアメリカのエドワード・ハウエル博士により発表され、現在は日本の酵素栄養学でも一般常識として考えられています。

この考えに基づいた場合、代謝酵素が少ない状態というのは消化酵素が大量に生成されている状態です。つまり、消化に手間がかかるものを食べていると、代謝酵素不足、つまり酵素不足に陥るというわけです。

ここで、最初の「食物酵素の摂取不足が酵素不足かどうか」に戻りましょう。初めに私は半分正解で半分誤りと述べました。ここまでの、内容を理解すると私が述べた意味がわかるのではないでしょうか。

私が述べたかったのは、「食物酵素の摂取が体内の酵素補給をしているわけではないが、食物酵素を摂取することで消化酵素の体内生成を抑えることができるため、結果として代謝酵素が不足することを防ぐ」ということです。

酵素不足が生じる原因

酵素不足がどういった状態なのかはお分かりいただけたかと思いますが、では酵素不足は何故起きるのでしょうか。酵素不足は、消化酵素が使われ過ぎる状態であり、消化に悪いものを食べた場合、発生しています。

では、消化に悪いものとは何かというと、様々なものがあり、これが悪いというものを上げればきりがありません。そもそも、消化というものは食べ物を体が吸収できる最小単位にまで分解していくことです。分解を行うためには、部品が多いものが大変だ、つまり消化酵素を大量に消費するということになります。

例えば、お肉が消化に悪い、という話はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。一方で、肉にはタンパク質が入っているため、筋肉を作るとも聞いたことがあると思います。

しかし、タンパク質というのは、タンパク質の状態では体に吸収できません。タンパク質はアミノ酸の塊であり、消化酵素はタンパク質をアミノ酸に分解しています。分解されたタンパク質は、代謝により再度タンパク質として再構築(他に利用される場合もあり)ます。

消化の仕組み

アミノ酸が体に良いと一時期ブームになりましたが、アミノ酸はタンパク質よりも分解コストが低いため、体に吸収しやすいという一面も体の良い一つの理由でした。

また、糖分も太る原因の代表例として挙げられます。一方で果実の糖分は体に良いから摂取すべきという声も聞いたことがありませんか?これは、砂糖に含まれる糖分と果実に含まれる糖分の構造の違いから、このような声が生まれています。

一般的な砂糖の成分はショ糖という成分でブドウ糖と果糖がくっついた状態です。一方で、フルーツに含まれる糖分は果糖です。果糖やブドウ糖は単糖類と呼ばれ、この状態で最小単位といわれています。しかし、ショ糖はブドウ糖と果糖がくっついたものなので、一般的に二糖類と呼ばれ、消化コストが高い成分です。

このように、消化(最小単位への分解)にコスト(手間)がかかるものを大量に摂取していると、酵素不足となってしまい消化酵素の消費が増える=代謝酵素が生産できなくなる、という代謝が悪く太るという構図が出来上がります。

酵素阻害剤摂取で酵素不足を引き起こしている場合も・・・

酵素は触媒であるという話をはじめにしましたが、酵素がそれぞれの物質の化学反応を補助してあげています。しかし、残念ながら反応の補助を邪魔する物質も世の中には存在します。それが、酵素阻害剤といわれているものです。

酵素がある物質とある物質の化学反応をさせたい場合、物質の手をつなぐ必要があります。しかし、その物質の手を酵素よりも先に手をつないでしまい、酵素と手をつなげなくしてしまうのが、酵素阻害剤の働きです。ちなみに、酵素と手をつなごうとしている物質、つまり化学反応したい物質のことを生化学的には「基質」と呼びます。

酵素阻害剤

参考:酵素阻害剤とは?

では実際にどのようなものが酵素阻害剤として働いているのでしょうか。

  • 食品添加物
  • 白砂糖
  • 生の豆・ナッツ・種
  • 薬(抗生物質など)

意外なのは下の二つではないでしょうか。

生の豆やナッツ・種は外敵から身を守るために、酵素阻害剤を作り出しています。生の豆等は、放っておいてもなかなか腐らないですが、これは表面を酵素阻害剤で覆っていて、化学反応を起こさないようにしていることが一因です。

食べる際には、熱で酵素阻害剤を壊してあげるか、長時間(12時間程度)水につけて酵素阻害剤をはがしてあげる必要があります。

薬というのは、すべてのものに酵素阻害剤が含まれているわけではありません。酵素阻害剤が利用されている代表例は抗生物質です。抗生物質は、細菌の酵素反応を酵素阻害剤で邪魔することで、細菌が酵素反応(代謝)をできなくして細菌を殺しています。

害のある細菌にだけ働けば有効なのですが、善玉菌にも効果を発揮してしまうこともあるため、抗生物質の取り過ぎは危険といわれています(すべての薬が危ないというわけではありません)。

酵素不足が解消するとダイエット効果以外にも

酵素が不足すると代謝が悪くなる、ということで何となく健康被害がありそうな気がする、というのは勘付いている方も多いのではないでしょうか。代謝とは、様々な役割がありますが、凄く大雑把に言ってしまえば「糖をエネルギーに変える」「細胞の入れ変わり(新陳代謝)」ことです。

代謝が悪いと発生する体の変化は肥満が代表的であり、肥満は万病のもとであるといっても過言ではありませんが、実は酵素不足を解消すると他にも体に良い効果が期待できます。

また、代謝が悪い、つまり消化酵素が大量に働いている状態というのは、消化に悪いものを大量に摂取しているということです。消化に悪いと、消化コストがかかるだけでなく、最悪の場合消化しきれないで体内に残留します。

残留した食物は残念ながら体内で腐敗していきます。腐敗した食物はいわゆる悪玉菌の巣窟となり、代表的な例でいえば腸内環境の悪化を引き起こします。お肉は消化に悪いと聞いたことがあるかもしれませんが、焼き肉の後のおならや便が臭いということを経験したことがあるのではないでしょうか。

体内でお肉が消化しきれずに、腐敗している証拠です。

酵素不足を解消する方法

酵素不足、すなわち代謝酵素の働きが悪い状態を改善するためには、消化酵素の利用を抑えてあげる必要があります。消化酵素を抑えてあげるためには、以下のような対策が効果的です。

  • 消化コストが高い食べ物を控える
  • 食物酵素がたっぷり含まれている食物を食べる

もしも、一言で表せと言われれば「健康的な食事をとれ」です。しかし、これでは元も子もありません。

消化コストについては消化の仕組みでも説明していますが、私たちが普段摂取している栄養素もさらに分解が必要なため、できるだけ最小単位になっているものを摂取するのが効果的です。

先ほども例に出しましたが、砂糖(ショ糖)を取るよりも果糖を取る方が消化コストを抑えられます。おやつで甘いものが食べたくなったら、ドライフルーツを食べなさい、とダイエットサイトや本で見たことがある人もいるかもしれませんが、これはフルーツの糖分が果糖(単糖類)であり、最小吸収単位で消化コストが低いことが一つの理由です。

食物酵素については詳しく説明していませんでしたが、食物酵素が自己消化を行ってくれるため、私たちの体の中で消化酵素を利用する必要量を減らしてくれます。では、どんなものに食物酵素が入っているかというと、生の野菜や果実です。

酵素の説明で触れましたが、酵素が最も活発に反応できるのが「ph6~8」「37℃~46℃」となっています(すべての酵素がこの限りではありません)。生の野菜は腐りやすいが、火を通す、低い温度の環境に置いておくと保存がきくという、ということからも酵素が働きが弱まることを実感できるのではないでしょうか(すべてが酵素の力ではありません、あくまでも一部が、です)。

まとめ

酵素不足が太るメカニズムについて説明してきましたが、要点をおさらいしておきましょう。

  • 酵素不足とは代謝酵素が不足すること
  • 代謝酵素が不足すると代謝が悪くなり太る原因となる
  • 代謝酵素は消化酵素を使いすぎたことで不足してしまう
  • 代謝酵素不足を解消するには生の野菜や果実を取る・消化に良いものを食べることが重要