油の多い食事

脂質の多い食事をとると太る、というのは何となく皆さんもご認識していると思いますが、なぜ太るのでしょうか。

本当に脂質は太る原因なのか、体に必要がないのかも含めて解説していきます。

脂質が多いと太るメカニズム

まず、初めに述べなければならないのは、脂質を取り過ぎたからといって太らない、というのが近年の研究成果です。このように言われてしまうと、戸惑う方もいらっしゃるかと思いますが、現在私たちが太る最大の理由は「糖質の取り過ぎ」と考えられています。

糖質を取り過ぎると太るといわれている理由は、糖質を取り過ぎたことで血糖が上昇するとインスリンというホルモンが血糖を下げるように指令を出します。血中の糖分である血糖を少なくするために、各細胞に血糖を取り込み脂肪細胞として蓄積するからだ、と考えられています。

脂肪ができるメカニズム

脂質が脂肪を作ると考えている方が非常に多くいますが、脂肪を作る最大の原因は糖質です。糖質とは炭水化物が分解された状態、また砂糖などの甘味料に含まれているものとなります。

参考:糖質が太るメカニズム

脂質の取り過ぎが太ると考えられていた理由

太る
これまでの一般常識ではカロリーの摂取量が多ければ太ると考えられてきました。そして、脂質(脂肪分)には糖質やタンパク質の4倍ものカロリーがあるということが分かっています。そのため、脂質はカロリーが高いため太る原因であると考えられてきたのです。

しかし、近年はカロリーはあまり関係なく、先の説明の通り血糖値が上がると血糖を細胞に取り入れて、脂肪細胞を作ることが肥満の主要因であると考えられてきています。

カロリーとは、身近な言葉でよく耳にしますが、エネルギーの単位のことです。1ℓの水を1℃上昇させるのに必要な熱量(エネルギー)を1kcalと定義しています。

私たちの体は常に代謝(細胞の入れ替わりなど)を行っているため、エネルギーは必要です。基本的には食べ物からエネルギーを作り出して活動をしているのですが、万が一エネルギーが足りなくなる事態を想定して、体にエネルギーのもとを蓄積しているのが、脂肪となっています。

つまり、脂肪というのは生命活動にとってエネルギーの源泉であり、他の物質に比べて極めてすぐれたエネルギーの原材料というわけです。このように考えると、エネルギー貯蔵庫である脂肪を減らすには、食物から摂取した以上のエネルギーを消費する必要があるのがお分かりいただけるのではないでしょうか。

本当に脂質を取り過ぎても太らないのか?

証拠
これまでの説明で、太る原因は糖質の取り過ぎであると述べて、脂質が太る原因ではないといってきました。しかし、本当に脂質を取り過ぎても太らないのでしょうか。現に、脂質を取り過ぎた食生活をしているから私は太ったんだ、と感じている方もいると思います。

脂質が肥満の容疑者から完全に外れたわけではありません。黒ではないが白でもない、というのが本音です。なぜ、そのように考えられるのかを、ご説明していきます。

被疑①太る原因ではないからといって痩せるために脂質を摂取していいわけではない

ダメ
脂質が体についた脂肪の直接原因でないのは、何となくご理解いただけたでしょうか。しかし、脂質がお腹についた脂肪の直接原因ではなくても、脂質がダイエットの邪魔なことには変わりありません。

体は活動するためにエネルギーを使用すると述べましたが、エネルギーの生産順序は食物から先に消費していきます。お腹についた脂肪は、先にも述べた通り緊急時のエネルギー貯蔵庫なので、そう簡単には利用しません。

この状態で、エネルギー生産能力の高い脂質を食物から摂取したとするとエネルギー貯蔵庫の利用にまで至りません。そのため、痩せたい方が脂質たっぷりの食事をとることが必ずしもダイエットによい、というわけではないので注意してください。

被疑②脂質は太る原因ではないが太る補助をしている

通常脂質分だけを摂取する方はいないと思います。通常、脂質と同時に糖質(炭水化物)も摂取しているでしょう。これは太る原因です。脂質というエネルギー効率のよいものが体内にあれば、エネルギー生産効率が上がり、糖質はエネルギーに使われず余ってしまいます。

脂質と糖質が肥満を作る

糖質が余れば血糖値が上がります。血糖値が上がると初めに説明したようにインスリンが働き脂肪細胞を作り出します。

つまり、脂質だけであれば確かに太る原因にはならないが、一緒に糖質(炭水化物など)を摂取していれば、糖質が脂肪細胞に変わる手助けをしている、というわけです。限りなく黒に近いグレーというのが最適な表現ではないでしょうか。

脂質摂取の影響

では、脂質のみの食生活をすればよい太らないのか、と考える人も中にはいるかもしれません。確かに、太るという観点だけで見れば、理論上はそうかもしれません。

しかし、脂質だけを摂取するという極端なことを行った場合、健康への影響が懸念されます。健康への影響を考えるために、まずは脂質と一言で表しているものを、少しかみ砕いてみましょう。

①中性脂肪

中性脂肪
最も聞きなじみのある言葉が中性脂肪ではないでしょうか。食品に含まれる脂質の中で最も多いのが中性脂肪です。

中性脂肪はグリセリン(グリセノール)と3つの脂肪酸がつながった存在です。体内に摂取されると酵素によりグリセリンと脂肪酸に分けられます。脂肪酸については次にお話ししますが、一部のグリセリンはは肝臓でさらに代謝され、グルコース(デンプン)に変わることもあります。

②脂肪酸

脂肪酸と一言でいっても、実は様々な形で分けられます。まず、最初の分岐は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸です。生化学的な違いを述べると、「炭素がすべて飽和結合」されているものを飽和脂肪酸、「一部が二重結合」になっているものを不飽和脂肪酸と呼びます。

しかし、これでは何が違うのかよくわかりませんね。実はこの結合の違いから、溶ける温度が違ってきます。生化学的に述べれば融点がことなる、ということです。飽和脂肪酸の方が液体になりにくく、不飽和脂肪酸の方が液体になりやすいといわれています。

さらに次の分岐です。不飽和脂肪酸の中にはさらに二重結合の構造から分類が分かれます。トランス型とシス型です。巷でトランス脂肪酸が体に悪い、という話を聞いたことがあるかもしれませんが、トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の中の形状が変わっているものを指します。

脂肪酸の分布

トランス脂肪酸の何が悪いのか

トランス脂肪酸
トランス脂肪酸を取り過ぎると体に良くないといわれていますが、基本的に人工的に作られた脂肪酸のためといわれています。人工的に無理やり作られた物質であるため、体内で代謝ができない(しにくい)というのが現在の考えられている理由です。自然の食品に一切存在しないというわけではないのですが、異端な存在であることには変わりはないようです。

参考:農林水産省

トランス脂肪酸は基本的に人間の創意工夫により生まれました。本来、脂肪というのは不飽和型であると融点が低く固形上に保つことが難しいものでした。そのため、なんとか固形にすることができないか、と考えられたのがトランス型の脂肪酸です。

そのため、私たちが普段摂取している食品の中では、脂質を固形にすることでメリットが得られるようなものに含まれていることが多いです。参考に、代表的なトランス脂肪酸を含む食品を展開しておきます。

  • マーガリン
  • ショートニング
  • ケーキ
  • マヨネーズ
  • カップ麺(フライ製法)

人工油を利用している製品はトランス脂肪酸が含まれている可能性が非常に高いというわけですね。何かとトランス脂肪酸は世間を賑わせています。一部、ネットの世界ではマーガリンはプラスチックを食べているようなものだ、という意見で話題となったこともありますね。

参考:えっ、まだ信じてるの?…「マーガリンはプラスチック」というデマ

また、世界的にはトランス脂肪酸を禁止にしている国も出てきており、アメリカではマクドナルドが10億円の支払いを行ったともいわれています。

③必須脂肪酸

厳密には②の中の一部なのですが、分けさせていただきました。必須脂肪酸とは体内で生成することができない脂肪酸のことであり、食品から摂取する必要性が高い脂肪酸です。必須脂肪酸のみを摂取すればよい、という意味ではないので注意してください。体内生成できる脂肪酸も適量を摂取することは必要です。

必須脂肪酸の種別

不飽和脂肪酸の中でもシス型、トランス型以外にも分け方があります。これは、形状違いで分けられているのですが、一価と多価は二重結合部分が何個存在するかで分けられています。

必須脂肪酸は基本的には、私たちが日常利用している、食用油にも含まれています。しかし、現代人は左記の図で挙げたω-3脂肪酸とω-6脂肪酸のバランスが異常であり、非常に危険とも言われています。

ω-3脂肪酸とω-6脂肪酸の望ましい摂取比率は1:1から1:4であると言われている。典型的な西洋での食事ではω-3脂肪酸とω-6脂肪酸の比率は 1:10から1:30の間で、ω-6脂肪酸の摂取が極めて高い実態にある。この原因は、代表的な食用油の多くが高い比率のω-6脂肪酸を含んでいてω-3脂肪酸をほとんど含んでいないからである。

参考:Wikipedia

そのため、ω-3脂肪酸の摂取量を増やし、ω-6脂肪酸を減らさなければなりません。しかし、Wikipediaの説明の通り食用油にω‐6脂肪酸が多く含まれているため、現実的にω‐6脂肪酸を減らすことは困難です。油を利用しない食事というのは現代社会では非常に難しいですからね。そのため、ω‐3脂肪酸の摂取量を可能な限り増やすことが現実的です。

【100gに含まれるω‐3脂肪酸の量】

EPA DHA α-リノレン酸
すじこ:1.9g 本マグロ脂身:2.9g エゴマ油:57.0g
ハマチ:1.5g すじこ:2.2g フラックス油:53.3g
マイワシ:1.4g 真鯛:1.8g ナタネ油:10.2g
本マグロ:1.3g ぶり:1.8g クルミ:9.0g
サバ:1.2g サバ:1.8g 大豆油:7.5g
ぶり:0.9g ハマチ:1.7g きな粉:1.7g
さんま:0.8g さんま:1.4g トウモロコシ油:1.4g
アナゴ:0.5g ニジマス:1.0g 米ぬか油:1.1g
さけ:0.8g がんもどき:1.1g

主に魚と豆類に含まれています。できる限り魚や豆を摂取することが必須脂肪酸を摂取する秘訣です。また、可能であれば普段利用している食用油をこの表にある油に変えてみるのも効果的かもしれません。

脂質を取り過ぎると

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かなり長々と脂質について説明をさせていただき、本来の脂質が太るのかどうかという話からそれてしまった部分もありました。結局、脂質を取り過ぎるとどうなるのかというと、脂質にも種類があり、すべての脂質が悪影響を与えるわけではない、というのは何となくご理解いただけたと考えております。

しかし、現実的に私たちが通常の生活を送っている中で摂取する脂質というのは、ほとんどが中性脂肪です。中性脂肪を取り過ぎれば、カロリーのえさになり、糖質を燃やすことができなくなってしまいます。つまり、結局は太ってしまうということです。

もしも、脂質だけを摂取する生活をするのだとすれば、主に中性脂肪が増えることになります。では中性脂肪が増えるとどうなるかというと、残念ながら健康に悪いといわざる負えません。

中性脂肪増えてしまえば、血中で酸化してしまう可能性が高まってしまい過酸化脂質という物質に変化してしまいます。過酸化脂質は血管にこびりつき、こびりついた過酸化脂質は血管を狭くしてしまい、血圧上昇、動脈硬化の原因となってしまいます。

まとめ

長くなりましたが脂質が太る原因となるメカニズムについてご理解いただけたでしょうか。簡単に要点をまとめておきましょう。

  • 脂質自体が太る直接的な原因ではなく糖質が太る原因である
  • 脂質はカロリーが高いため糖質の代謝を妨げてしまい太る原因を作ってしまう
  • 脂質にも種類があり脂質を完全に遮断することが良いわけではない

脂質は取り過ぎれば肥満の原因です。ただし、脂質だけが原因というわけではないんですね。

参考:糖質で太る原因メカニズム
参考:タンパク質で太る原因・メカニズム

また、脂質を摂取し過ぎて太った場合、痩せることは非常に困難です。酵素ダイエットは有効なダイエット方法といわれていますが、実は嘘や誤った情報も多いので、注意しましょう。

参考:酵素ドリンクには酵素が入っていない!