タンパク質

タンパク質を摂取し過ぎると太るということを聞いたことがあるのではないでしょうか。しかし、実際になぜタンパク質を摂取し過ぎることが太る原因となるのか、詳しいメカニズムが分からないという方も多いでしょう。

タンパク質が太るといわれている原因・メカニズムを詳しく説明していきます。

タンパク質の摂取過多が太るメカニズム

タンパク質はご存知の方も多いと思いますが、アミノ酸の塊です。摂取されたタンパク質は体内の消化器官・消化酵素で分解されていき、体に吸収可能な単位のアミノ酸へと分解されていきます。

分解されたアミノ酸の使い道は主に2つです。1つは体の組織など必要なものとして利用される、もう一つはエネルギーを作り出すのに利用されます。エネルギーは炭水化物(糖質)からだけ作られると思い込んでいる方もいらっしゃいますが、タンパク質(アミノ酸)からもエネルギーは作り出されます。

タンパク質からATPが作られる仕組み
参考:代謝のメカニズム

タンパク質から分解されたアミノ酸は、ミトコンドリアが持つクエン酸回路というところに入り、ATPというエネルギー生産物質に変わります。そのため、タンパク質からもエネルギーは生産されています。

エネルギーの生産量が増えれば血中の血糖値が上がる原因となります。血糖値とは血中に含まれるブドウ糖(主に)の量であり、血糖値が上がり過ぎれば、血糖値を下げるためにインスリンというホルモンを分泌します。

インスリンは各細胞に血糖を細胞に吸収して血糖値を下げるように指令を出します。各細胞は指示通りに血糖を吸収して、吸収した血糖を脂肪細胞として保管しています。せっかく補給されたエネルギーの元である血糖をゴミにしてしまわないように、脂肪細胞としてため込んでいるんですね。

脂肪ができるメカニズム
参考:糖質過多が太る理由・メカニズム

タンパク質を多く摂取すれば、それだけエネルギー生産量が上がることになります。つまり、血糖が上がるリスクが上がるのです。しかし、タンパク質から得られるエネルギーは脂質(主に中性脂肪)に比べれば非常に少ないのも事実です。

また、タンパク質からエネルギーが生産される本来の目的は、アミノ酸まで分解された物質たちを再構築するためのエネルギーを作るためです。そのため、大きなエネルギーとはなりません。

タンパク質摂取量が多すぎれば、確かに太る原因となるとは考えられますが、同時に摂取する脂質や炭水化物(糖質)が原因となる場合の方が、はるかに多いでしょう。

酵素栄養学から見たタンパク質

酵素栄養学では潜在酵素(体内に存在する酵素)は一定であり、消化酵素が多く利用されると代謝酵素が生産できなくなる、代謝が悪くなるといわれています。つまり、消化に悪いものを食べると代謝を悪くするということですね。

参考:酵素栄養学とは?

潜在酵素の関係性
参考:酵素とは?

タンパク質は最初に説明した通りアミノ酸の塊です。消化酵素によりアミノ酸に分解しないと体に吸収することはできません。また、タンパク質の種類については後ほど説明しますが、タンパク質によっては分解に時間がかかるものもあります。タンパク質の化学的な構造によるものです。

そのため、タンパク質といっても取る種類によっては、消化酵素を浪費すことになり代謝を悪くする、そして太る原因になると考えられています。では、実際にタンパク質で消化に悪いといわれるものに、どういったものがあるのか、というと後ほど説明しますが、代表的なのは動物性タンパク質といわれるものです。

肉・魚・牛乳・卵などに含まれるタンパク質は動物性タンパク質といわれています。一方、植物性タンパク質は吸収しやすいといわれています。大豆などに含まれるタンパク質ですね。

タンパク質の種類

先に登場した動物性タンパク質と植物性タンパク質の違いは、その名の通り動物からとれるタンパク質なのか、植物からとれるタンパク質なのかという違いです。動物性タンパク質が消化に悪いと述べましたが、タンパク質自体が消化に時間がかかるというわけではなく、摂取方法の問題です。

動物性タンパク質の代表例はやはり「お肉」です。お肉が消化に悪いというのは皆さんも認識があると思いますが、肉は胃酸などでも溶けきらず、残ったまま体内の消化器官を経由してしまうことが多々あるためです。

消化しきれずに体内に残留してしまったお肉は体内で腐敗してしまい、腸内の悪玉菌を作り出す原因になるといわれています。お肉を食べた後に、おならや便が臭いのは体内で腐敗を起こしてしまっている証拠です。

一方で栄養学的に見たお肉はタンパク質として含まれるアミノ酸は豊富なため、非常に良質といえます。植物性タンパク質よりもアミノ酸スコアという値が高く、タンパク質の質が良いと言えます。

参考:http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n289338

上記のヤフーのサイトにもあるようにアミノ酸スコアとは、タンパク質に含まれるアミノ酸のバランスを示した指標です。アミノ酸と一言でいっても20種類あり、また各々のアミノ酸が必要な量なければ、体に吸収できなくなります。そのため、体に吸収できるアミノ酸の含有量を基準値を100とした場合の数値をアミノ酸スコアとして定めています。ただし、アミノ酸スコアはのちに説明する、必須アミノ酸に限った値です。

アミノ酸スコア

しかし、動物性タンパク質を摂取する場合の問題点は消化だけではありません。動物性タンパク質は一緒に脂質なども摂取することが多く、別の問題も引き起こします。

では、植物性タンパク質が絶対に良いのか、というと先のヤフーのサイトの中でも触れられている通り、アミノ酸スコアが低い食品が多いのがネックです。もちろん、単品の食品としてみたスコアがアミノ酸スコアなので、他の食材から別のアミノ酸を摂取すれば、バランスが取れる可能性はあります。

ただ、現実的に各食品にどれくらい、どのアミノ酸が入っているのかを調べて食品を選ぶのは非常に困難なため、アミノ酸スコアを手掛かりに食品選びをするのが良い、と考えられています。

また、植物性タンパク質の中でもアミノ酸スコアが高いものはあります。アミノ酸スコアが満点で有名なのは納豆です。納豆は体に良いと皆さんもイメージがあると思いますが、事実アミノ酸スコアも満点(100点)であり、私たちの体に不足しがちなω-3脂肪酸や、大豆イソフラボンも豊富です。

ω-3脂肪酸は通常の植物油から摂取が難しく、豆類や魚から摂取するのが一般的です。大豆イソフラボンは植物性の女性ホルモンと呼ばれており、女性ホルモン同様の効果が期待できます。具体的には、肌のハリツヤが良くなるなどですね。

必須アミノ酸

アミノ酸の中には必須アミノ酸というものが存在します。全20種類のアミノ酸は必須アミノ酸9種類と非必須アミノ酸11種類に分けられます。このように書くと、非必須アミノ酸は不要なのかと思うかもしれませんが、そういうわけではありません。

必須アミノ酸は体内で生成することができないアミノ酸、非必須アミノ酸は体内で生成できるアミノ酸という違いです。非必須と書かれているからといって、不要という意味ではないので注意しましょう。

先に説明したアミノ酸スコアとは必須アミノ酸に限定した値です。つまり、9種のアミノ酸のバランスを表した指標がアミノ酸スコアとなっています。

タンパク質の機能的な分類

タンパク質には様々な役割があります。その、タンパク質の機能的な分類で分けてみたいと思います。

種類 主な機能
構造タンパク 結合組織の主成分 コラーゲン
酵素タンパク タンパク質の分解 トリプシン
受容体タンパク 血糖値を下げる インスリン受容体
調節タンパク 血糖値を下げる インスリン
運動タンパク 筋収縮 ミオシン
防御タンパク 病原体の無毒化 免疫グロブリン
輸送タンパク 酵素の運搬 ヘモグロビン
貯蔵タンパク 栄養として貯蔵 オボアルブミン

このようにタンパク質にも様々な役割があります。一般的にはタンパク質は筋肉を作り出すものというイメージが強いですが、ホルモンであったり血液であったり様々なところでタンパク質が活用されているのです。

タンパク質摂取不足になると

ダイエットというとカロリーが高いものを控えようと考えるため、お肉などの高カロリー食材を避けタンパク質が不足する場合があります。では、タンパク質不足になると、どうなるのか・・・これは説明するまでもありませんね。

先ほど登場したタンパク質の役割を見ていただければ、タンパク質不足がどのような事態を招くのかお分かりいただけるかと思います。

酵素栄養学に基づく酵素ダイエットでもタンパク質の摂取量を抑えろ、とは書かれていません。酵素ダイエットの中では動物性タンパク質の摂取を控えろ、と述べられていますが、その代わりに植物性タンパク質でタンパク質を摂取するようにといわれています。

先ほども説明しましたが、植物性タンパク質の欠点はアミノ酸スコアが低いことです。そのため、ある程度偏りの少ない食事にするか、あるいはアミノ酸スコアが満点の納豆を積極的にとることを推奨しています。

まとめ

タンパク質が太るメカニズムとタンパク質について説明してきましたが要点を整理しておきます。

  • タンパク質を大量摂取することでカロリー摂取量は増える
  • カロリーは脂質などに比べて多くはない
  • カロリー摂取量が増えれば血糖が上がる要因になり脂肪を作る原因になる
  • ただし、タンパク質は様々な役割がありダイエット中でも必要な栄養素である