ビタミンイメージ

皆さん、補酵素という言葉を聞いたことがあるでしょうか。実は一部の酵素では補酵素がないと働けないという事実があります。

そんな補酵素について、どのような役割を持っていて、どんなものがあるのか解説していきます。

補酵素とは?

疑問
まず、初めに一言だけ断わっておくと、補酵素という考え方は酵素栄養学だけに特化した考え方ではなく、化学の世界の一般常識です。事実、この記事を書くにあたり「田中越朗さん著 好きになる生化学」という本を参考にしています。

補酵素という言葉を初めて聞いた、という方もいるかもしれませんが、実は身近なところで聞いているはずです。補酵素はコエンザイムと呼ばれているからですね。TVCMなどで聞いたことがあるのではないでしょうか。

まず、酵素を英語でいうと「エンザイム(enzyme)」です。エンザイムに「コ(Co)」がついたのがコエンザイムですね。実は、コ(Co)には補うという意味があります。つまり、コエンザイムは直訳で「補酵素」だったんですね。

では、本題の補酵素が何をしてくれる存在か、ですがその名の通り酵素が働くことを補助してくれるものです。

酵素は皆さんもご存知の通り、タンパク質(アミノ酸の塊)で、体の中の生体反応(化学反応)を推進する触媒の機能を持っています。

参考:⇒酵素とは?代謝酵素・消化酵素の違い

触媒がないと働けない酵素がある

ショック
しかし、タンパク質である酵素は単体では触媒としての働ができないものが存在します(単体で働くものもあります)。少し科学的な話をすると、タンパク質というのは様々な原子の結合した物質で、その形状は多岐にわたります。

原子のくっつき方(化学反応)は、基本的に電子のやり取りにより行われることを、理科の授業で習ったことを覚えているでしょうか。電子が原子間で動くことで化学反応は生まれます。

では、酵素が触媒としての機能を果たせない状態とは、どういったものかというのを再度見てみましょう。触媒として化学反応を起こせないということは、化学反応を起こしたい相手と電子の受け渡しを行える形状になっていないということです。

つまり、補酵素が必要な酵素は、触媒として作用したい相手と、化学的に電子を受け渡せないタンパク質、ということになります。少し難しい話になりましたが、特に覚える必要はなく、酵素には補酵素を必要とするものと、酵素のみで働けるものの2種類があると理解しておけばよいでしょう。

また、補酵素を必要とする酵素は、酵素のタンパク質部分を「アポ酵素」とよび、補酵素と合わせて「ホロ酵素」と化学的に呼んでいます。

酵素と補酵素

補酵素の種類

補酵素 別名
ビタミンB1 チアミン、TPP
ビタミンB2 リボフラ便、FMN、FAD
ビタミンB6 ビリドキサール、PLP
ビタミンB12 コバラミン
ナイアシン ニコチン酸、NAD、NADP
葉酸 THF
パントテン酸 CoA
ビオチン ビタミンH

ご覧いただい通り、補酵素は私たちになじみのあるビタミンが、その役割を担っています。特にビタミンB系が補酵素として有名です。

では、実際にどのような働きを行っているのかを代表的に例で見てみましょう。

ビタミンB1の補酵素としての働き

ビタミンB1の補酵素としての働

ビタミンB1は代謝の中のATP生産に関係しています。ATPとは私たちの体の中のエネルギーの原材料であり、代謝酵素やミトコンドリアの中のクエン酸回路というものの中で、生産されます。代謝酵素の説明の中で詳しく説明もしています。

⇒代謝酵素とは?代謝の働き

ATPを生産する代謝は基本的には、各栄養素を消化酵素で最小単位(代表例はブドウ糖)へ分解したのちに、解糖と呼ばれる化学変化でピルビン酸というものを作ります。このピルビン酸をさらに変化させてミトコンドリアの中にあるクエン酸回路というところに運ぶ際に、ピルビン酸脱水素酵素というものと、ビタミンB1が働いています。

つまり、端的に述べればビタミンB1が不足するとエネルギーの生産が不足することになり、体の活動に支障をきたします。特にエネルギー生産が減ってくると最初に反応するのは、脳神経といわれているので重大な障害が出る可能性が非常に高くなります。

葉酸の補酵素としての働き

核酸ができる仕組み

葉酸は核酸を作るのに必要な酵素となっています。アミノ酸から核酸を作るためには、酵素だけでは反応できないため葉酸が必要になるのです。

ただ、核酸といわれても今一つピンと来ないという方もいるのではないでしょうか。ただ、この言葉ならどうですか?核酸はDNAとRNAの2種類です。

前者のDNAは聞きなじみのある言葉ではないでしょうか。よく髪の毛のDNA検査で犯人を特定する・・・なんてことをテレビドラマで目にすることもあるかと思いますが、DNAは細胞の設計書の役割を持っています。

私たちの体では一日に100万もの細胞が新陳代謝で入れ替わりを行っており、細胞は同じ形をしていなければなりません。同じものを作り出すには、同じ設計が必要であり、DNAはどこの細胞がどういった形になるべきかを設計してくれているのです。そのため、DNAを調べると誰のものなのかがわかる、というわけですね。

RNAはDNAで設計されたものを、作っている存在です。分かりにくいかもしれませんが、DNAは建築士(図面を設計)でRNAは大工さん、と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。

つまり、核酸が作られなくなるということは、細胞の設計書や細胞構築の作業者がいなくなってしまうということです。これでは、新しい細胞を作り出せませんね。新陳代謝が悪くなり、様々な健康被害を発生させてしまいます。

【参考】補酵素と似た役割を持つ金属イオン

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これまで、補酵素の働きと代表的な補酵素をお伝えしてきましたが、実は補酵素以外にも酵素の働きを助ける物質があります。それは、金属イオンです。

金属イオンというと、私たちの体に金属なんて存在するのか、と考えてしまう方もいるかもしれませんが、一般的にいうミネラル分が金属イオンの源泉です。

ミネラルは体に必要、と聞いたことがあると思いますが、ミネラルを具体的に物質名でいうと「カルシウム」「リン」「カリウム」「マグネシウム」「塩素」「ナトリウム」「鉄」「亜鉛」「銅」「マンガン」「クロム」「ヨウ素」「コバルト」「セレン」「モリブデン」「硫黄」などが代表例です。

本当に体に摂取しているの?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、私たちが何気なく摂取している食材に含まれているんですよ。ほうれん草など鉄分が豊富と聞いたことはありませんか?

では、実際にどのような金属イオンが酵素の補助をしてくれているのか、というと「カルシウム」「マグネシウム」「亜鉛」です。金属イオンといわれても、金属と何が違うのか、と疑問に思うかもしれませんが、基本的には金属原子の電子が多いか少ないかの違いです。

化学反応は電子のやり取りを行っていますが、その電子が通常よりも多いか少ないか(少し簡単にいいすぎですが)という違いであり、その電子の数が多い、少ないにより原子間のやり取りが可能となり、化学反応が起きています。

あまり小難しい理屈は覚える必要がないですが、ビタミンだけでなくミネラルも酵素の働きに関係している、ということを覚えておくとよいでしょう。

まとめ

補酵素の役割と働き、代表的な種類を解説してきましたが、再度まとめておきましょう。

  • 補酵素は酵素と一緒に働く物質
  • 補酵素の代表的な例はビタミンB類
  • 金属イオン(ミネラル)も補酵素と似た役割をするものがある

酵素の観点から体の中を理解していくと、栄養バランスが大切だ、ということがなんとなく理解できるのではないでしょうか。酵素はタンパク質です。そして、今回解説させていただいた、補酵素と補酵素に似た役割を持つ金属イオンは、いわゆるビタミン・ミネラルです。

炭水化物やタンパク質ばかりでなくビタミンやミネラルがある食事をするのが健康のためです、とはよく聞く言葉ですが、酵素を理解することで少しだけ大切さが理解できたのではないでしょうか。

もちろん、ビタミン・ミネラルの働きは酵素の補助だけではありませんが、このような役割も持っていることを頭の片隅にでも留めてみてください。酵素ドリンクが酵素の働きを補助する、活性化させるといわれているのは、このビタミンやミネラルが豊富だから、というのも一つの理由なんですね。

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