違い

皆さん酵素や酵母、発酵という言葉の違いが今一つわからないな、と感じている方もいるのではないでしょうか。

そこで、それぞれがどのようなもので、どのように違うのかを詳しく解説していきます。

酵素とは

酵素とは化学反応を引き起こすための触媒です。私たちの体の中では、日々化学反応が発生しています。食べ物を消化するのも化学反応、エネルギーを作り出すのも化学反応、体を組織を作り出すのも化学反応です。

酵素自体は、生き物ではなくタンパク質の一種です。酵素は生き物という認識を持っている方もいますが、生きているわけではなく、あくまでもタンパク質という物質であり、様々な物質同士の化学反応を促進してくれます。

参考:酵素とは?

酵素栄養学の酵素の考え

酵素ダイエットは酵素栄養学の考えを元にしたダイエット方法です。酵素栄養学では、酵素を体内で生成されるものを潜在酵素と呼び、潜在酵素の中でも消化に利用する酵素を消化酵素、代謝に利用する酵素を代謝酵素と呼びます。

また、食品から摂取できる酵素を食物酵素と呼びます。食物酵素には代謝酵素としての働はなく、あくまでも食品自身の自己消化を促してくれる酵素と位置付けられています。

酵素関連図
参考:酵素とは?

さらに、酵素栄養学の考え方では、消化酵素と代謝酵素は体内で一定数しか存在できないと考えられています。どういうことかというと、消化酵素が体内で多く働いていると、その分代謝酵素は働けない、という考えです。

潜在酵素の関係性
参考:酵素とは?

つまり、消化酵素を節約することが代謝酵素の働きを促進すると考えられています。消化が悪い食べ物を食べると、代謝酵素が働けなくなるから代謝が悪くなり、太ってしまうということですね。

酵母とは

酵母は酵素と違い生物です。いわゆる菌と呼ばれる微生物であり、実は私たちの身の回りの食品生産に多く使われています。特によく耳にするのは、アルコール類、パン類でしょうか。

現在確認されている酵母は349種類に分けられるといわれており、サントリーのページでも酵母を利用して様々なアルコール類が生産されていることを紹介されています。

参考:http://www.suntory.co.jp/whisky/museum/know/hakkou/iroiro.html

酵母の働きは基本的には、糖分を分解することです。酵母は先ほどの述べた通り微生物です。生物であるため活動するためには、エネルギーが必要となります。人間のエネルギーは体内の代謝により起こり、主なエネルギー源はブドウ糖です。

酵母(微生物)の場合も主なエネルギー源は糖質であり、微生物が糖質からエネルギーを得ることで、新たな物質、人間的にいえばうまみ成分やアルコールといったものが、副産物として作られます。

【例:ワインが作られるときの酵母の働き】
酵母の働

インターネット上では酵母は酵素の母親だから酵母という、酵母はダイエットに良い、という情報が溢れています。しかし、残念ながらそういったサイトの情報は情報をきちんと精査しきれずに、おそらく酵母ダイエットサプリのサイトに書いてあることを鵜呑みにして、そのまま記載しているだけのようです。

確かに、酵母の働きの一つに酵素の生産はあります。しかし、酵母というものを一括りにダイエットに最適です、といった記載の仕方には疑問が残ります。

例えば、パンの生産にも酵母は使われています。イースト菌という名前は聞いたことがあるかもしれませんが、酵母の一種です。パンがふっくらするのは、イースト菌の力ですね。先の酵母は酵素の母であるという話に従うと、パンにも酵素がたっぷり含まれているはずです。

しかし、パンに酵素がたっぷりという話を聞いたことがるでしょうか。酵母は酵素を生み出すものだけではなく、いろいろな役割があるという一例です。

【参考】主な酵母の効果

  • アルコール生産
  • 酵素生産
  • 核酸関連物質生産
  • ビタミン等の栄養素生産
  • 菌体生産

また、酵母とその他の微生物を混同したような記載も見られます。例えばヨーグルトの生産に利用される乳酸菌を酵母と混同したような記載が見られます。乳酸菌も確かに発行を促す微生物であり糖分を分解してくれる、という点では類似していますが、酵母ではありません。

わかさ生活のサイトで酵母の発見の歴史や種別などが詳しく書かれているので、興味がある方は参考にしてみください。

参考:http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/yeast/

発酵とは?

酵母の説明の中で一部発行も登場しました。赤ワインの生産過程でアルコール発酵という部分ですね。赤ワインの場合、発酵は酵母の働きにより果汁がアルコールに変化することを発酵と呼びました。

しかし、発酵とは何も酵母の働きによるものだけではありません。発酵とは化学的に言えば、微生物の働きにより有機化合物が変化する現象のことをいいます。つまり酵母に関わらず「何かしらの微生物の力で変化が起きること」を発酵というのですね。

では、酵母以外にどのような微生物が発行に関わっているのかというと、先の例に出た乳酸菌もその一つですが、大きくは「カビ」「酵母」「細菌」という分類分けがされています。乳酸菌は細菌の一種です。

乳酸菌の発酵

発酵技術の利用

発酵といわれると私たちになじみが深いのは発酵食品です。また、先ほどの説明の通りにアルコールも発行によりできています。では、実際に発行によりできている食品は、どのようなものがあるのでしょうか。

主な発酵食品

  • アルコール類
  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 醤油
  • 味噌
  • お酢
  • 納豆
  • キムチ
  • 漬物
  • 甘酒
  • 鰹節

一例ではありますが、かなり私たちになじみの深い食品が多く登場したのではないでしょうか。これらは、様々な微生物が食品の成分を分解してくれた結果、私たちにおいしさを届けてくれている食品になります。

発酵と腐敗の違い

発酵と腐敗は紙一重の差でしかありません。発酵は微生物による食品の分解です。一方、腐敗も微生物による食品の分解です。では、何が違うのかといえば人間が食べて毒性があるか、ないかの差でしかありません。

肉類は腐敗しやすいというイメージが多くの方にあるのではないでしょうか。これには、化学的な理由があります。肉類は皆さんご存知の通りタンパク質が非常に豊富です。肉類に対して微生物たちは、他の食材で起こる発酵と同様にエネルギーを摂取しようと、栄養素の分解を始めます。

しかし、タンパク質からエネルギーを作り出そうとすると、アミノ基という部分が余剰物質として発生し、このアミノ基はアンモニアを作り出してしまいます。アンモニアは臭いにおいのもととして非常に有名な物質ですが、ご存知の通り有害物質です。そのため、お肉は腐ると臭いがきつくなるのですね。

実は、この現象は私たちの体の中でも同じことが発生しており、タンパク質からエネルギーを作り出す時には、体内でアミノ基を作り出してしまいます。ただ、私たち体内では、アミノ基を体外に排出するために尿素回路という組織があります。その名の通り、尿として体外へ排出する仕組みですね。そのため、肉類などのタンパク質を摂取しても体に害を与えることはありません。

酵素栄養学から見た発酵

酵素栄養学では栄養素を分解する際に消化酵素を大量に使うことが太る原因とされています。

参考:酵素栄養学とは?

そのため、発酵食品というのは非常にダイエットに優れた食品となります。なぜなら、栄養素がすでに分解された状態となっているからですね。分解された状態のため、体内で消化酵素を利用する必要がグーンと減ります。

また、発酵食品自体に食物酵素が含まれている場合もあります。食物酵素は食材の自己消化を促してくれるため、これまた酵素栄養学的にダイエットに効果的な部分です。鶴見さんの酵素ダイエット本でも発酵食品は強く推薦されています。

酵素・酵母・発酵の関係

これまで酵素・酵母・発酵についてそれぞれ説明してきましたが、関係性をまとめると以下のような関係になります。

酵素と発酵と酵母の関係

酵母は発酵を起こす微生物の一種で、発行を起こすためには酵素が触媒となる必要があります。また、酵母は酵素を作り出しもしますが、すべての酵素が酵母からできているわけではありません。非常にややこしいところもあるため、最後は箇条書きでまとめておきましょう。

  • 酵素は食品分解の触媒
  • 酵母は微生物
  • 発酵は微生物が食品を分解した現象
  • 酵母を含む微生物と酵素が働くことで発酵が起きる
  • 発酵食品は食材が分解されているため酵素ダイエット的に代謝を促進する