学問

酵素ダイエットの基本は酵素栄養学に基づいて考えられています。

しかし、酵素栄養学というもの自体、どのような思想、考え、学問なのかご存知でしょうか。詳しく解説していきます。

酵素栄養学の成り立ち

酵素栄養学はアメリカのエドワードハウエル医師により提唱された考えです。1946年に専門書が発行され、1980年、1985年に一般向けに書籍として公開されたものであり、比較的新しい分野の考え方といえるでしょう。

基本的な酵素栄養学の趣旨は、生の野菜や果実を取ることで、体内の酵素を有効に活用することができるため、健康になるという趣旨です。

ローフードという考え方が近年流行しましたが、ローフードも酵素栄養学を手本に考えられた概念です。ローフードとは生の野菜や肉などを食することで、食品に含まれる栄養素を壊さないため体に良いという考え方です。

酵素栄養学の基本的な理論

証拠
酵素栄養学の趣旨は先ほど述べた通り生の野菜や果実を取ることで酵素が有効に活用される、ということですが、もう少し詳しく理論を見ていきましょう。

酵素概要

酵素栄養学を知る上で、まずは酵素という存在について簡単に知っておきましょう。これから話す、酵素の概要については酵素栄養学に限った話ではなく、一般的ないわゆる化学の世界で解明されているものです。

酵素とは化学反応を促す触媒のことです。私たちの体内では日々化学反応が起きています。たとえば、食べ物を食べた後の消化ですが、酵素の働により化学反応を起こすことで、栄養に分解されて体に吸収されています。栄養素と私たちが読んでいるもの、例えばタンパク質はアミノ酸の塊です。そのため、体にタンパク質が取り入れると酵素が触媒となりタンパク質をアミノ酸に分解します。

参考:消化のメカニズム

しかし、私たちの体はタンパク質で作られています。たとえばコラーゲンもタンパク質の一種ですね。アミノ酸に分解されてしまうとタンパク質として機能しなくなってしまうのではないか、と心配になると思いますが、アミノ酸からタンパク質を作るのも同じように酵素が触媒となって化学反応により作られます。

一般的にいう、細胞の入れ替わり新陳代謝は酵素の力なくしては成り立ちません。さらに、私たちの活動するためのエネルギー生産も酵素が触媒となり化学反応を起こすことで発生しています。

参考:代謝のメカニズム

そして、多くの人が勘違いしやすいのが酵素が生き物であると考えてしまうことです。酵素は生き物ではなく、タンパク質です。触媒として働くことができるタンパク質を酵素と呼んでいるので、生き物ではありません。

酵素の概要がご理解いただけたと思いますが、ここから酵素栄養学特有の考え方をご紹介していきます。

酵素栄養学独自の考え① 酵素の分類

酵素栄養学では酵素は潜在酵素、外部酵素というくくりで分けられます。また、潜在酵素はさらに代謝酵素と消化酵素で分けられます。

酵素関連図
参考:酵素とは

消化に利用される酵素は消化酵素、代謝に利用される酵素は代謝酵素、そして食物から摂取できる酵素は食物酵素です。しかし、化学的に見れば、酵素とはただのタンパク質の塊であり、利用用途によって区分けする必要がない、というのが一般的な見解のようです。

といっても、私が読んだ書籍「好きになる生化学」という本では代謝酵素、消化酵素という言葉は出てきます。そのため、区分け自体にそれほど強い意味はないのかもしれません。

酵素栄養学独自の考え② 酵素の生産量

人間が体内で生産できる酵素は一定量と決まっており、消化酵素が多く使われれば代謝酵素が生産できなくなる、という考え方です。つまり、消化に悪いものを摂取すると代謝酵素が生産されず、代謝が悪くなる、そして太ったり健康に害を出すという理論ですね。

潜在酵素の関係性
参考:酵素とは

また、この考え方に基づくと食物酵素が含まれる食事をとることが代謝を良くするポイントになります。なぜなら、食物酵素は食物自信を自己消化してくれるからです。食べた時点で、自己消化が始まっているため消化酵素の節約につながるというわけですね。

酵素栄養学の信ぴょう性

酵素栄養学には異論を唱える者も存在します。酵素栄養学自体が新しい学であり、また実証されていない推測に基づく理論が展開されているためです。これが嘘・とんでもなどという否定的な意見が出る理由です。

では、実際に否定的な意見をされている方、肯定的な意見をされている方の例を実際に見てみましょう。

否定的な意見 五本木クリニック院長

ダメ
この方はインターネット上で、自身の見解をブログとして展開しています。

参考:http://www.gohongi-beauty.jp/blog/?p=11010

ここでは、酵素ダイエットというものに対して、否定的な意見が展開されています。酵素ダイエットという言葉は、酵素ドリンク販売会社がいいように利用している、という意見ですが全く持ってその通りだと個人的には思います。

実は酵素栄養学を学んでいると、酵素ドリンクの販売会社が宣伝していたり、口コミ体験ブログなどで展開されているような、酵素ドリンクは酵素が摂取できるから痩せるんです、というのは嘘ということが分かります。

ただ、私が嘘とと述べているのは「酵素」を摂取することが痩せることにつながる、という部分ではなく、そもそも酵素ドリンクに酵素が含まれているわけではないという事実です。酵素は高温で失活する(効果を失う)ものがほとんどです。

そして、酵素ドリンクは清涼飲料水として販売されているため、法律の義務により熱で殺菌しています。そのため、酵素ドリンクには酵素自体が入っているわけではありません。

しかし、酵素ドリンクの販売ページには「酵素が入っているから痩せる」というニュアンスの説明がされており、利用者に誤った見解を与えかねないものが存在します。(すべての商品ではありません。商品名は伏せますが一部の商品は、このようにことが書かれています)

ただ、勘違いしていただきたくないのは、五本木院長の意見が間違えないから酵素ダイエットは嘘だ、といっているわけではなく、私の意見は「酵素ドリンクの効果に誤解を与える表現が含まれている」です。

また、五本木院長は以下のようなことを述べています。

■酵素が減るから老化するんじゃなくて、老化するから酵素が減るんです

これは、ニワトリが先か卵が先か理論となっていると思います。人間の体内の酵素の仕組みというのは解明しきれていない、というのが事実ですので、言い切ってしまうのはよろしくないでしょう。

ただ、決して五本木院長を否定しているわけではありませんし、五本木院長はご自身で調べたうえで、ご自信の見解を述べている立派な方です。そのため、貴重な意見として、皆さんも取り入れるべきですので、ぜひ一度見てみてください。

肯定的な意見 鶴見隆史

OK
日本の酵素栄養学の第一人者といってもよいでしょう。鶴見さんは酵素栄養学関連の書籍を発行しており、現在の酵素ダイエットブームの火付け役といってもよいかもしれません。

鶴見さんの酵素ダイエットの意見・理論は酵素たっぷりの食事をとることで、消化酵素を節約でき代謝酵素が活発になるため、代謝が良くなりダイエット効果や健康な体になるという意見です。先に説明した、酵素栄養学の理論となりますね。

鶴見さんの推奨しているダイエット方法は食事療法であり、酵素たっぷりの生野菜や生果実を取ったり、動物性たんぱく質を摂取することを控える、ファスティングなどを利用して体内の酵素を休ませてあげる、腸内環境を整えてあげる、といったところです。

おそらく、現在酵素ダイエットとして皆さんが認知している内容が鶴見さんの意見と一致しているのではないでしょうか。

しかし、鶴見さんの書籍等を読んでいると、疑問に思うところがあるのは事実です。まず、鶴見さんの酵素ダイエットは、従来のダイエット論に従っても痩せる手法です。なぜなら、非常にカロリーが低いからです。

酵素栄養学の見地でいえば酵素を節約することがダイエットにつながる、なのですが、一般的なダイエットは消費カロリーを上げて、摂取カロリーを抑える、です。実は、鶴見さんのダイエット手法は、このどちらにも当てはまります。酵素も補給できるし、カロリーも低カロリーです。そのため、絶対に酵素栄養学が正しいと言い切れる、ダイエット手法ではないと感じると思います。

ただ、鶴見さんの酵素ダイエットに基づいて痩せた・健康になったという方の数は数えきれません。そのため、手法としては非常に効果的なダイエット方法と言い切れるでしょう。また、鶴見さんの書籍以外にもヘルスケア大学などでも酵素栄養学に基づく酵素の効果は紹介されています。

酵素は消化を助けるだけでなく、心臓の動きや血液の循環もサポートするなど、生きるために欠かせないものです

出典:http://www.skincare-univ.com/article/009575/

ヘルスケア大学は現役の医師による説明が行われているため、医師の間でも酵素栄養学という観点は、確実に浸透しているという証拠です。

ただし、先の説明の通り酵素ドリンクに酵素が入っているから、酵素ダイエットに効果的であるという意見は嘘(完全にとは言い切れないですが)です。鶴見先生の書籍等にも、酵素たっぷりのフルーツのすりおろしジュースや野菜のすりおろしは効果的だが、市販の酵素ドリンクが効果的ですとは書いてありません。(すべての書籍を読んだわけではありません)

とはいえ、酵素ドリンクに酵素ダイエットとしての効果がないというわけではありません。酵素ドリンクはフルーツや野菜などを発酵エキスが入っている飲み物です。発酵は微生物が持つ酵素で、食物を分解していった結果発生している現象です。

そのため、通常の食物を摂取するよりも、栄養素が分解された状態で混入されています。

どういうことかというと、例えばタンパク質はアミノ酸の塊だと述べましたが、発酵されているとタンパク質としての成分として体に取り入れられるのではなく、アミノ酸の状態で体に取り入れられます。そのため、体内で消化酵素を利用する必要性が少なくなり、代謝酵素を多く生成できる、つまり代謝が良くなるという効果が期待できます。

ヘルスケア大学でも同様に酵素ドリンクの効果は酵素を摂取できることではない、が代謝を高める効果が期待できると記事にされています。

酵素ドリンクがサポートできるのは、「消化酵素を節約して、代謝酵素の働きを高める」こと。これにより、痩せやすい体質をつくっていけるというものなのです。ここを勘違いしてしまうと、「効果がなかった」「やせなかった」という結果になってしまいます。

出典:http://www.skincare-univ.com/article/009574/

酵素栄養学の効果

プレミアムな野菜たち

酵素栄養学に基づく効果については否定的な意見も肯定的な意見もあるのはご理解いただけたのではないでしょうか。では、酵素栄養学って信用していいのか、というのが皆さんの中で、わからなくなってしまったかもしれません。

しかし、酵素栄養学の考え方が正しいにしろ誤っているにしろ、効果を実感している方がいるのも事実です。理論自体は研究途上だなと感じる部分はありますが、医学や学問の発展というのは、いつまでたっても途上です。これまでの常識が新発見により覆される、というのはよくある話ですので。

あなた自身が信じられるのか、信じられないのかで判断するしかありません。

ケース①NHKあさいち 平山あや

2013年4月24日の放送で酵素の効果が特集されていました。この時のゲストが平山あやさんで、酵素ドリンクの愛用者とのことです。

「酵素凄く良いですよ、こんなに良いと思ってなかった」
「女の子は肌がキレイになるしー、身体が軽くなります」

放送内では、酵素ドリンクの力について否定的な見解が述べられましたが、平山さんは非常に抵抗していました。つまり、それだけ酵素ドリンクの力を実感しているということでしょう。

ちなみに、この放送は酵素の効果について誤った見解が述べられたと、話題にもなりました。

http://www.nstimes.info/06-2012/honto.html

ケース②藤原紀香

2011年の「誰だって波乱爆笑」というTV番組内で「ファストザイム」という酵素ドリンクを藤原紀香さんが愛用していることが判明しました。藤原紀香さんの場合は、美容に良いことは何でもしている、というイメージがあるので、効果を体感できているのではないでしょうか。

また、近年のTV番組では「2015年5月29日 金曜プレミアム・バナナマンの独占密着!スターの決断~決断は金曜日SP~」で酵素ジュースを飲んでいることも公開されています。こちらで登場した酵素ジュースは市販のものではなく、サンシャインジュースという、いわゆるコールドプレスジュースのようです。

http://www.fashion-press.net/news/17991

酵素栄養学の観点を取り入れたジュースを藤原紀香さんが現在も利用しているということでしょう。

酵素という言葉が流行している理由

現代は酵素という言葉が独り歩きしている状態です。当記事でも何度か記載していますが、酵素ドリンクのPRで酵素が入っているからダイエットに効果的ですよ、というウソの情報(完全に嘘というわけではないかもしれませんが)が出回ってしまっています。

これは、酵素という言葉を付けると、商品が売れる、という宣伝手法によるものだと考えられます。当サイト含め、メディアというものが発展し過ぎてしまったために、誤った情報なども浸透するようになっています。

まとめ

長くなりましたが、酵素栄養学についてご理解いただけたでしょうか。要点を整理しておきましょう。

  • 酵素栄養学は近年発展した新しい理論
  • 従来化学と相反する部分もあるため否定的な意見もある
  • 酵素ダイエットという言葉の中には酵素ドリンクの商品PRの中で歪曲された情報もある
  • しかし酵素ドリンク自体に効果がないというわけではない(と思われる)

参考:ダイエットに効果的な酵素ドリンク