酵素阻害剤

酵素阻害剤とは聞いたことがあるでしょうか。実は私たちの身近なところでも利用されていますが、どのようなものがあるのでしょう。

酵素阻害剤とはどういったもので、酵素栄養学から見ると体にどのような影響を与えているのかを詳しく解説していきます。

酵素阻害剤とは?

まず、初めに一言だけ断わっておくと、酵素阻害剤という考え方は酵素栄養学だけに特化した考え方ではなく、化学の世界の一般常識です。事実、この記事を書くにあたり「田中越朗さん著 好きになる生化学」という本を参考にしています。

酵素阻害剤とはその名の通り、酵素の働きを阻害する物質のことをいいます。酵素は、人体の消化や代謝に関係する大切な物質であり、酵素を阻害されてしまえば、人体への影響は計り知れません。

参考:酵素とは?種類・働き・概要

そんな酵素の働きを止めてしまうのだから、非常に危険な物質といわざる負えません。

酵素阻害剤のメカニズム

酵素阻害剤

酵素とは人間の体の中で起きる化学反応の触媒としての役割を持っています。酵素を触媒にして様々な化学反応が発生し、消化や代謝が行われています。

化学的な用語では、この反応する物質(反応前の物質)のことを基質と呼びます。基質と酵素があることで初めて化学反応が起き、私たちの体を支えてくれているのです。

しかし、酵素阻害剤は基質と結びついてしまいます。基質の結合部分は本来酵素とつながる予定だったのに関わらず、酵素阻害剤とつながってしまうと化学反応を起こすことができなくなってしまいます。

このようにして、酵素の働きを行うのが酵素阻害剤です。

酵素阻害剤の活用方法

意外に思うかもしれませんが、実は酵素阻害剤は私たちの役に立つ活用法も確立されています。消化や代謝がされなくなることで、体に良いことが起きるとは思えないかもしれませんが、悪いことばかりではないのです。

実は私たちの体が病気になった時に処方される薬にも酵素阻害剤は利用されている場合があります。薬というとざっくりしていますが、すべての薬が酵素阻害剤というわけではありません。薬の中には酵素阻害剤になるものが存在しているのです。

よく耳にする抗生物質などは酵素阻害剤の一種です。体内に侵入した細菌のもつ基質に酵素阻害剤としてくっつき、細菌が酵素反応をできないようにして殺しています。

抗生物質の仕組み

しかし、抗生物質の問題点は善良な細菌(善玉菌)も同時に殺してしまうこと、といわれています。確かに悪性のある細菌に対して有効なのですが、同じ効果を善玉菌にももたらしてしまう危険性を持っています。

東工大のサイトでも抗生物質の代表例であるペニシリンが、薬としてどのような作用をしているのか図付で解説されていますので、よろしければ参考にしてみてください。

http://www.t-scitech.net/miraikan/medicine/medicine/how_to_work.html

もしかすると、抗生物質を取り過ぎるのは危険だ、という噂を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、こういった理由だったのですね。

その他にも、血圧を下げる薬や、膵炎の治療薬フオイパン、抗がん剤などでも酵素阻害剤は利用されています。

酵素阻害剤が含まれるもの

酵素の働きを害することで基本的には体に良いことはありません。そのため、できれば酵素阻害剤を摂取したくないと考えると思うのですが、実際にどのようなものに酵素阻害剤は含まれているのでしょうか。

白砂糖

白砂糖

白砂糖の基本的な成分はショ糖と呼ばれるものです。どうしても砂糖と糖分を混同してしまいがちですが、白砂糖(私たちが目にする砂糖)はショ糖であるとお考えて、ほぼ問題ありません。

少し科学的な話をすると、ショ糖は二糖類と呼ばれる物質であり、簡単にいうと下で説明する単糖類が2つながったもの、であると考えていただければOKです。

糖分には先に登場したブドウ糖や麦芽糖、果糖というものも存在します。これらは単糖類(ブドウ糖と果糖)と呼ばれています。ちなみに、フルーツに含まれる糖分はショ糖ではなく果糖です。

では、この単糖類と二糖類では何が違うかというと、単糖類はそのまま人体へ吸収でき即時にエネルギーになれるのに対して、二糖類は分解が必要です。この分解コストが実は重要で、分解するのに消化酵素を利用しなければならなくなってしまいます。

少し話がそれましたが、ショ糖は糖分を結晶化して作られた物質です。砂糖の原材料はサトウキビであることをご存知の方も多いでしょうが、サトウキビ自体は食物であり、本来糖分以外の栄養素(ビタミン・ミネラル)も含まれています。

しかし、白砂糖を作る工程で、他の栄養素を根こそぎ排除しています。他の栄養素を排除する際に炭酸カルシウムなどが使われており、炭酸カルシウムが不純物を吸着し、白い結晶(白砂糖)と分離しています。

つまり、一言でいうと白砂糖というのは決して天然素材ではなく、食品添加物であるということに他なりません。

白砂糖と比較して黒砂糖もありますが、黒砂糖はサトウキビに含まれるビタミンやミネラルを排除したわけではありません。

黒砂糖が健康に良い、といわれるのは白砂糖に比べてビタミンやミネラルを排除していないからです。ただし、石灰乳という物質とともに煮詰めているので、完全な天然物というわけではありません。そういった意味では、黒砂糖も食品添加物です。

そうなると、糖分として摂取したいのはやはり単糖類である「果糖」です。果糖はフルーツに含まれています。フルーツの糖分は体に良いといわれますが、単糖類で体の球種がよく、すぐにエネルギーに変わり、同時にビタミンやミネラルも補給できるからですね。

ナッツ・豆・種(生)

豆類
何となく健康に良さそうなイメージがあると思いますが、実は酵素阻害剤になりえます。

私たちの身近なところからも分かるのですが、ナッツや豆や種は非常に腐りにくいと感じたことはありませんか。腐らないということは、化学反応が起きていない証です。化学反応は酵素が働いていないと起きません。

これらの豆類は自信を守るために酵素阻害剤を利用しています。豆類は基本的に子孫の種となっています。生物はみな子孫を残すために活動していますので、子孫を守るために強固な防護壁を作ります。

この防護壁が豆類の表面には存在しており、栄養を閉じ込めたり腐敗が起こらないようにしています。

では、豆類は一切摂取してはいけないのか、というとそういうわけではありません。生で食べることで酵素阻害剤を摂取してしまう可能性があると述べています。

豆に含まれる脂質やタンパク質は実は非常に体に良いため、できれば積極的に摂取をしたいところです。しかし、酵素阻害剤は摂取したくない、そうなるとひと手間加えてあげることが重要になります。

火を通すことでも酵素阻害剤は排除することが可能ですが、火を通してしまうと豆に含まれる酵素も失活してしまいます。そのため、水に長時間つけてあげることが有効であるといわれています。

たったそれだけでよいのか、と思うかもしれませんが、水でふやかした豆は腐ります。これだけでも酵素阻害剤が剥げていることがイメージできるのではないでしょうか。

ちなみに、少し脱線しますが、酵素の働きで私たちになじみ深いのが、発酵です。発酵は酵素を触媒にして化学反応を起こして独自の食品などに仕上げたものです。しかし、発酵と腐敗はほとんど変わりません。単純に食べれなくなったら腐敗で、食べれるものだったら発酵といっているといっても過言ではありません。

その他の酵素阻害剤

  • 食品添加物
  • 農薬

私たちが口に入れる可能性が高いものとしてはこのあたりではないでしょうか。食品添加物と一言で言っても非常に数が多く、そのすべてが悪いとは言い切れませんが、いわゆる「保存料」「着色料」というような食品添加物は酵素阻害剤を利用しています。

保存料は正に腐敗を防ぐ技術ですので、酵素阻害剤を利用しているのがよくわかるのではないでしょうか。

また、農薬も酵素阻害剤の一つです。説明するまでもなく体に害があるのだろうな、とは思ってるとは思いますが・・・。昔、TVで誰かが言っていましたが、人間はムシすら食べないものを食べている・・・うーん・・・ぐうの音も出ないな、と感じたことがあります。

基本的に人工的に作られたような物質には酵素阻害剤が少なからず入っているとお考えいただければ、大きな間違えはありません。

酵素阻害剤を大量に摂取することの体への影響

酵素阻害剤を体に摂取する影響は、体内の酵素が働けなくなることです。特に酵素阻害剤を摂取する機会というのは食事から、ということが多いと思いますが、食事とともに酵素阻害剤を摂取した場合、まず初めに消化が阻害されます。

消化酵素の働きを妨げるわけですから、消化が鈍くなってしまいますね。そして、消化できないことから消化酵素を大量に消費してしまいます。

酵素栄養学の見地から見ると、消化酵素を大量に浪費することで代謝酵素へも影響を出してしまいます。体内に生成できる消化酵素と代謝酵素の数は一定であると考えられているからです。

潜在酵素の関係性
参考:酵素とは?種類・働き・概要

つまり、酵素阻害剤を摂取することは消化酵素の無駄遣いを招き、代謝酵素の量を減らしてしまい、代謝が悪くなってしまうのです。こうなると、体は太りやすくなり健康への害も出てきてしまいます。