消化酵素イメージ

私たちの体の中で働いてくれる消化酵素について、どんな種類があり、どんな働きを行ってくれているのかを詳しく解説していきます。

消化酵素の概要

消化酵素は私たちの体の中で生成される潜在酵素の一種です。潜在酵素には消化酵素と代謝酵素があり、その他に食物から摂取できる食物酵素があります。

酵素関連図
参考:酵素とは?

消化酵素の役割は、その名の通り消化を行うことです。私たちが普段摂取している食べ物は、そのままでは栄養として吸収できないため、細かく分解されています。この細かく分解してくれているのが、消化酵素の主な役割となっています。

消化酵素の代表的な種類

器官 酵素 役割
唾液腺 唾液アミラーゼ 炭水化物の分解
上層胃 アミラーゼ 炭水化物の分解
下層胃 リパーゼ 脂肪を分解できる柔らかさにする
ペプシン タンパク質の分解
レンニン 乳製品の消化
小腸 アミノペプチターゼ タンパク質をポリペプチド化(化合物)する
ジペプチターゼ タンパク質をジペプチド化する
ラクターゼ 乳糖をブドウ糖とガラクトースにする
ホスファターゼ 脂肪のリン酸塩を柔らかくする
マルターゼ 麦芽糖をブドウ糖にする
スクラーゼ ショ糖をブドウ糖と果糖にする
膵臓 アミラーゼ デンプンをブドウ糖にする
キモトリプシン ポリペプチドを分解しアミノ酸にする
リパーゼ トリグリセリドを脂肪酸に分解する
トリプシン ポリペプチドを分解しアミノ酸にする

ここに挙げたのはあくまでも代表的な例であり、消化酵素は1万以上も体内に存在しているといわれており、そのすべてが解明しきれているわけではありません。

しかし、消化に酵素の力が必要不可欠なことは間違えありません。消化酵素の働きは、概要で説明した通り消化の触媒であり、酵素があることで人間の体に吸収できるレベルにまで分解することが可能になっています。

消化酵素の働き・メカニズム

消化酵素は様々な部位で様々な消化を行っていることが、なんとなくご理解いただけたかと思いますが、実際にはどのようなメカニズムになっているのでしょうか。

栄養素と一言で言っても、タンパク質とアミノ酸の違いや、炭水化物とブドウ糖などの違いなど、実はあまりよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

3大栄養素である「タンパク質」「炭水化物」「脂質」の消化メカニズムを確認してみましょう。

①タンパク質の消化

消化の仕組み

タンパク質はアミノ酸の塊です。アミノ酸が鎖のように絡まりあって塊となっているのがタンパク質です。しかし、タンパク質はそのままでは体に吸収できないため、アミノ酸をつないである鎖を切ってあげるのが酵素の役割です。

鎖を切ってあげると、それぞれのアミノ酸まで分解され体に吸収できるものとなります。ちなみに、アミノ酸を部位に必要なタンパク質に再結合するのも酵素(代謝酵素)の力です。

アミノ酸は全部で20種類あるといわれています。20種類のアミノ酸が組み合わさってできるのが、タンパク質です。アミノ酸の組み合わせの仕方を生化学の世界では、ペプチドと呼んでいます。

アミノ酸が2つ組み合わさることをジペプチド(2つのペプチド結合)、3つだとトリペプチド(3つのペプチド結合)・・・と呼びます。タンパク質の種類は、このアミノ酸のペプチド結合数分だけあるといわれていて、例えばジペプチドだけでも20の2乗、トリペプチドなら20の3乗・・・と無限に広がります。

そのため、タンパク質は多種多様で、非常に多くの種類が存在するのです。

②炭水化物の消化

炭水化物消化の仕組み

炭水化物の消化の仕組みもタンパク質に非常によく似ています。炭水化物は基本的にはブドウ糖の塊です。つまりは、炭水化物は糖分と考えても、ほぼイコールです。

糖類は、分子構造の違いで「単糖類」「二糖類」「多糖類」などと分けられます。私たちになじみのある、糖類がそれぞれどのような糖類に分けられているのかを簡単に見てみましょう。

分類 名称 成分
単糖類 ブドウ糖
果糖
ガラクトース
二糖類 麦芽糖 ブドウ糖2つ
ショ糖 ブドウ糖・果糖
乳糖 ブドウ糖・ガラクトース
多糖類 デンプン ブドウ糖が主
グリコーゲン ブドウ糖が主
セルロース ブドウ糖が主

図の説明では、すべてブドウ糖、およびブドウ糖に分解されるように記載していますが、実際には果糖やガラクトースでできている場合もあります。つまり、正確には単糖類の塊が炭水化物であり、炭水化物の消化は単糖類まで分解することを行います。

よく私たちが摂取する糖分でショ糖は体に悪いけど、果糖は体に良い、という話を聞いたことがあるかもしれませんが、これはショ糖は二糖類のため、消化酵素によりさらに単糖類へ分解しなければならず、酵素を浪費するから、という意味合いが酵素栄養学的にはあります。

もちろん、ショ糖が体に悪いといわれている理由は、これだけではありませんが、酵素栄養学的に見てもあまりよくない、と覚えておいてもよいかもしれません。

③脂質の消化

脂肪の消化

上記図の例は中性脂肪の消化例です。中性脂肪はグリセリンと3つの脂肪酸がつっくついた形のものを言います。

中性脂肪は、水と混ざりにくい特性から体な中でも消化しにくい成分です。体内では酵素液中に消化酵素が含まれているため、水分と溶けないと酵素が働けないからです。

そのため、体内では担汁の酸の作用で、中性脂肪を水に溶けやすくしています。その後、膵臓のリパーゼという酵素がグリセリンと3つの脂肪酸を切り離してくれています。

ところで皆さん、脂肪というと、すべてが悪で必要ない、というイメージをお持ちではないでしょうか。実は脂肪も必要な成分です。3大栄養素というくらいですからね。特に脂肪酸は「必須脂肪酸」と呼ばれる外部から摂取することが望まれるものも存在します。

必須脂肪酸とは、体内で生成できない脂肪酸のことを言います。つまり食物でしか摂取できない脂肪酸のことを必須脂肪酸と呼んでいるのです。代表例は、EPAやDHAなどの主に青魚に含まれる脂肪酸です。

酵素栄養学の見地から消化に良いということは?

消化酵素の働き、消化のメカニズムを簡単に見てきましたが、ご理解いただけたでしょうか。消化は、各物質を最小単位に小さくしていくことを行っている、と理解していただければ、大筋OKです。

このことが分かると、消化に悪いというのは、体内で最小単位に分解するのに時間がかかるものだ、というのが分かると思います。たとえば、先の例で出したショ糖などは果糖に比べて消化に悪いことがお分かりいただけるのではないでしょうか。

消化が悪くなるということは、消化酵素を大量に体内で利用することです。そして酵素栄養学では消化酵素を使いすぎると、代謝酵素が活動できなくなるということです。つまり、代謝が悪く太りやすい体になるということですね。

潜在酵素の関係性
参考:酵素栄養学から見た酵素とは?

さらに、消化が悪いと体の中で消化されなかった食物などが腐敗してしまい、いわゆる悪玉菌の繁殖を招きます。俗にいう腸内環境の悪化というものですね。

よく、焼き肉を食べた後の便やおならは臭いということがありませんか?これは、お肉という消化に悪いものを大量に食べたため、体の中で消化が追い付かずに、腐敗してしまい、腸内環境が悪化しているサインです。

消化に悪いものを食べるということは、代謝を悪化させる、腸内環境も悪化させる、などあらゆる悪さを行います。言われなくてもわかっているとは思いますが、消化に良いものを体に摂取することが非常に重要なのです。

消化に良いものとは?

消化に良いものというのは、酵素栄養学から考えると消化酵素を利用しなくてよいものです。何度も申しますが、消化酵素を大量に使うと、代謝酵素が生成できずに代謝も悪くなります。

では、消化酵素を利用を減らすためには、どのような食事をとればよいでしょうか。

  • 食物酵素が豊富な食事で消化酵素を助けてあげる
  • 栄養素が分解されている発酵食品で栄養を補給してあげる

食物酵素が大量に摂取できるものです。具体的にいえば、生の野菜やフルーツ、発酵食品などには多くの食物酵素が含まれています。食物酵素がたっぷりの食事をとることで、食物自信が自己消化を行ってくれ、体内で消化酵素を生成する必要が減っていきます。

食物酵素の働き

また、先の説明の通り3大栄養素、特にタンパク質や脂肪は消化に時間がかかります。なぜなら、それぞれの成分を体に吸収できる単位まで細かく分解しなければならないからですね。

しかし、発酵という工程を経ていると、栄養素が分解されたり、保管物質に変わったりすることがあります。発酵食品が体に良い、ということを聞いたことがある人も多いと思いますが、消化酵素の節約に一役かっているところも一因といってよいかもしれません。

参考:酵素・酵母・発酵の違い

アミノ酸が体の疲労回復に優れている、と一時期話題になったことがありましたが、アミノ酸で摂取することで体への吸収を早め、体内の代謝酵素を有効活用できることが疲労回復にもつながっています。

まとめ

消化酵素の働きや消化のメカニズムを解説してきましたが、要点をおさらいしておきましょう。

  • 消化酵素は各栄養素を最小単位に分解する
  • 消化に悪いものを食べると消化酵素を利用し過ぎて代謝も悪くなる
  • 脂質やタンパク質などは消化に時間がかかるので消化酵素を浪費する
  • 消化を良くするためには食物酵素を摂取することが大切