酵素ドリンクに酵素は入っているか

酵素ドリンクに酵素が入っていないという噂を聞いたことがあるのではないでしょうか。一方で反論意見も多数出ています。

どちらの主張が正しくて、どちらが誤っている、というわけではありませんが、少し客観的な視点から真実を見ていかないと消費者である私たちは混乱してしまいます。両者の意見を見比べながら、真実に迫りましょう。

酵素ドリンクには酵素は入っていない

当サイトにたどり着く訪問者様ですので、おおよその概要を知っている方は多いかもしれませんが、噂が出た理由をまずはご説明していきます。

酵素ドリンクに酵素が入っていないという噂が出た理由は主に2つです。

【酵素が入っていないという噂が出た理由】

  • 酵素は熱で死滅(失活)するため清涼飲料水である酵素ドリンクに酵素はない
  • 酵素が含まれていても胃酸で失活するので意味がない

一方、この噂に対して真っ向から反対する意見も出ています。

【反論意見】

  • 酵素は高熱にも耐えるものもあるから意味はある
  • 酵素は胃酸で失活するが腸で活性化する

両者の主張はそれぞれ嘘を言っているわけではありません。内容をもう少し深く掘り下げてみていきましょう。

酵素ドリンク否定的意見①:酵素ドリンクに酵素が入っていないの根拠

まず最初に誤解がないように述べておくと、酵素は生物ではないので死滅という表現は少しおかしいかと思います。しかし、働けなくなる状態があるのは事実であり、その状態を一般的に失活と呼びます。

この前提でお話をすると、否定派の意見は酵素は熱で失活する、また酵素ドリンクは清涼飲料水として販売されているので、加熱殺菌処理が施されているので、酵素なんて入っていない、という論理です。

酵素は熱に弱く、48度を超えると活動が弱くなり、60度を超えるとほぼ失活してしまいます。市販の酵素ドリンクで「酵素を摂りましょう」といわれていますが、通常、清涼飲料水として販売をする場合、65度で10分間以上の加熱殺菌をしなければいけないと法律で義務付けられています。

引用:All about

酵素の働きは「37℃~46℃」が最適な温度といわれており、この温度だと働きが強い(触媒として)状態です。これは、私たちの体温が37℃付近なことを考えると、自然なことだと分かるのではないでしょうか。酵素は私たちの体内で、消化や代謝の触媒として働くため、体内で最適に働けるように作られています。

語弊があるかもしれないので説明しておくと、酵素という物質が先にできて、そこから人間という生命が生まれたのかもしれません。酵素が37℃付近で最適に働くため、人間は37℃付近に体温を保つように作られた、というのが正解という可能性もあります。

酵素ドリンク肯定的意見①:酵素ドリンクには酵素が入っているという意見

肯定は熱に耐える酵素が存在するので酵素は入っているし意味はあるという意見です。この意見は確かにあっているようです。例えば、開発された酵素として90℃を超えるものもあるといわれています。

2012年、東京農工大学の大野弘幸教授らは90℃の高温に耐える耐熱性酵素を開発した。
熱水や強い酸性の環境にすむ古細菌が持つ酵素の一部を改良した。
開発したのは、熱や酸に耐える力を備えた「シトクロムP450」と呼ぶ酵素。

引用元:http://www.naoru.com/kouso2.html

しかし、この例では肝心の酵素ドリンクに活性化された酵素が含まれているかどうか、はわかりません。あくまでも、論理的に耐熱性の酵素が存在できるという事実を示したにすぎず、酵素ドリンクに含まれているかどうか、とは無関係ですからね。

では、実際にどのように調べるかというと、厳密に調べるには酵素ドリンクに含まれるすべての酵素を調べなければなりませんが、事実上不可能でしょう。となると、実際に酵素ドリンク販売会社へ問い合わせてみるくらいしか、消費者に知る由はありません。

酵素販売会社への問い合わせ内容については、本記事の後半でまとめるのでしばしお待ちください。

酵素ドリンク否定的意見②:胃酸で失活するの根拠

酸への耐性も酵素は「ph6~8(中性)」で最適に働くといわれています。また、強い酸性・アルカリ性の環境に投入すると「変性」という現象が起きて、失活状態になるのが一般的です。

生体内での生成や分布の特性、熱や pH によって変性して活性を失う(失活)といった特性などは、他のタンパク質と同様である。

引用:Wikipedia

変性が起きることは化学の世界で一般的な論理であり疑いようのない事実です。

酵素ドリンク肯定的意見②:腸で再び活性化される

しかし、酵素が腸で活性化されるという意見があります。

私たちの聞き覚えのあるものでいうと、ビフィズス菌などが腸で再び活性化されることが有名ですが、酵素も似たような動きをするという意見です。一度、胃酸で失活するが、腸で活性化するとの理論です。

胃に入って酵素が働くから野生の動物は生食オンリーなのです。よしんば胃酸で失活するように見えても、ほとんどは腸に入り復活して活動するのです。このことは1985年エドワード・ハウエル博士がEnzyme Nutritionで発表して明らかになりました。

引用:http://www.xn--t8j4aa4nwipf5iscy368gersb.net/turumikouso.html

草食動物が筋肉を作り出す理由が酵素が再び活性化しているから、という意見です。しかし、あまり一般に広く浸透している考えではないようです。

草食動物が筋肉を作り出す理由について調べた結果・意見

「草からアミノ酸を合成できる微生物が体内にいるから」

引用:漫画家ゆきちのHP

馬は、植物性のものを食べて、それらを元に筋肉を作るのに必要な栄養を作ってくれる微生物をお腹に飼っています。

引用:パーソナルトレーナー安藤宏行のブログ

専門家の方が述べている意見はインターネット上にはあまりないので、信ぴょう性に欠けるかもしれませんが、このような意見があるのは事実です。

草食動物とされる動物には、機会的にではあるが、卵や時には死体や昆虫のような他の動物質の食物を摂取し、蛋白質の補給をしていることが知られている。

引用:Wikipedia

Wikipediaの中では長文で、体内の微生物に栄養を生成させたり、時には微生物自体を消化吸収して体を作っていることが書かれています。おそらく微生物の力と、植物昆虫などから可能な限りのタンパク質を摂取して筋肉を作り出しているというのが一般見解のようです。

そのため、酵素が腸で活性化されるという見解はあまり一般に知れ渡っていないようです。公的機関や研究機関等の見解がないため、何が事実か調べることが困難としか言いようがなさそうです。申し訳ありません。

酵素ドリンク販売会社の見解

ここまで、肯定的な意見と否定的な意見のそれぞれの見解と客観性について述べてきましたが、酵素ドリンク販売会社の見解というのが最も気になるのではないでしょうか。

ただ、実は同じような疑問を持った方がすでに酵素ドリンク販売者へ問い合わせを行った結果を公開しています。

参考:http://www.xn--t8j4aa4nwipf5iscy368gersb.net/kousokouka.html

すべて見てもきりがないので、調査内容と回答をまとめさせていただきます。

【調査内容】

  • 全17社へ調査依頼
  • 質問内容:65度以上で加熱しているため酵素は死滅しているのではないか

【回答まとめ】

  • ほぼ全社が酵素ドリンクは酵素自体を補給できる飲料ではない
  • 一部会社は酵素の働きはすべて解明されたわけではないので、一部は活性しているとも考えられている(少数の会社のみ回答)
  • 商品出荷段階では失活状態でも腸で活性化される酵素もある(少数の会社のみ回答)
  • 体内で酵素を作る成分・酵母菌などを多く含んでいる(少数の会社のみ回答)
  • 酵素ドリンクは作成段階で酵素を利用して発酵している
  • 栄養素が分解されているため体内の消化酵素を節約できる効果が酵素ドリンクにはある

このような回答となりました。つまり、酵素ドリンクに酵素が入っていないという噂は「販売会社も認める事実」ということです。

酵素ドリンクの効果・噂の真相・真実

先の回答の通り酵素ドリンクに酵素が入っていないという(失活している)ということは事実であると考えてよいかと思います。確かに、一部の主張の通りすべての酵素が失活しているわけではないかもしれません。

しかし、大半の酵素は失活していると考えるのが自然なことです。どこの世界でも例外というものはあり得ますのでね。

では、酵素ドリンクを飲むことに効果がないのかというと、そういうわけではないでしょう。酵素ドリンク販売会社も述べていますが、酵素ドリンクの効果は体内の消化酵素を節約することにあります。

酵素栄養学では、体内の酵素は「消化酵素」「代謝酵素」に分けられて考えられています。また、体内の酵素は両者で一定しか存在できないため、消化酵素を浪費してしまうと、代謝酵素がうまく働けずに代謝が悪化する原因と考えれています。

潜在酵素の関係性
参考:酵素とは?種類・働き・概要

酵素ドリンクは、各社共通した回答として、原材料を発酵させた「植物発酵エキス」によりつくられていることが分かります。発酵とは食物を分解した結果であり、消化酵素を節約可能です。

つまり、酵素ドリンクは消化酵素を節約しながら栄養を補給できる飲料ということになります。

  • 酵素ドリンクに酵素が入っていないは、ほぼ事実
  • しかし酵素ドリンクがダイエットに適していないというわけではない
  • 酵素ドリンクは体内の代謝酵素の力を活性化させるのに役立つ商品である
  • そのため酵素ドリンクにダイエット効果が期待できないわけではない

あとがき:酵素ドリンクに酵素がない・効果がないと噂が出回る理由

酵素ドリンクに酵素がない、効果がないという噂が出回る要因は「ネーミング」と「酵素ドリンクが流行したから」だと考えます。

まずネーミングに誤解を与える部分があるのは事実でしょう。酵素ドリンクといわれれば、酵素が入っている飲み物だ、と考えるの自然です。しかし、もっと大きな要因は、流行したからではないでしょうか。

流行したものには否定的な意見が出るのは、自然なことです。

流行し、認知度が上がれば多くの人の目に留まる機会が増えます。その中には、酵素というものに詳しい人が存在し、そのような人から見た酵素ドリンクという飲み物は「怪しげ」に見えるのではないでしょうか。

  • 酵素ドリンクに酵素が入っているわけがない
  • 宣伝文句にしか見えない

すると、どこからともなく、噂は広がり「酵素ドリンクは胡散臭い」「酵素ドリンクは詐欺商品だ」⇒「酵素ドリンクは効果がない」「酵素ドリンクは痩せない」などと、どんどん少しづつ形を変えて広まっていくのだと思います。

また、酵素ドリンクを正しく利用せずに痩せなかったという人の意見もあったのでしょう。酵素ドリンクの販売には必ず、ダイエット効果があるかのように書かれています。

しかし、酵素ドリンクはあくまでもダイエットの道具にすぎず、飲むだけで痩せる薬ではありません。

先の説明の通り酵素ドリンクに期待できる効果は「消化酵素をあまり利用せずに栄養を補給できるため、代謝酵素を活性化させる」ということです。

もしも、酵素ドリンクを毎日飲むだけで、他の食事が普段と変わらないのであれば、消化酵素を節約したことにはなりません。単なる栄養補給をしているだけですね。

そのため、酵素ドリンクを利用する場合は、ファスティングダイエットや置き換えダイエットを行う必要があります。

現在、世の中で言われている「酵素ダイエット」とは、酵素ドリンクを利用したダイエットのことを指す場合が多いですが、酵素ドリンクを飲むだけ、というわけではないことをよく覚えておきましょう。